10月
02
2026

これまで行われてきた数々の調査によると、バニラは世界でもっとも人気のある香料である。しかし、その歴史を紐解くと、バニラが庶民の間に広まり、世界中に普及するのには時間がかかった。中央アメリカ原産、ラン科の中で唯一食用のさやを持つこの植物は、18世紀後半、まずはヨーロッパと北アメリカの市場を席巻し、その後徐々にアジアに進出していった。

1819年6月、インド洋に浮かぶレユニオン島に、バニラの挿木を積んだ軍艦が到着した。この船の船長と同乗者の植物学者は、この挿木は島にとって、「繁栄の源」となるだろうと予言した。なぜなら、バニラは、アジアとの交易品として有用だったからである。実際、何世紀も前から、アジアの市場ではバニラの需要が高まっていたが、メキシコ原産のこの植物は当時、スペインに独占されていたのである。

本講演ではまず最初に、17世紀から今日までのアジアにおけるバニラ導入の試みに焦点を当てる。その軌跡は現インドネシア、フィリピン、ベトナム、そしてインドにまで及ぶ。奇妙なことに、ジャワ島以外では、アジアではバニラの主要な生産者が生まれることはなかった。バニラは本質的に島由来の食品だったのである。講演の最後には、バニラの需要、とりわけ日本のそれについて取り上げる。

エリック・ジェニングス(トロント大学)

エリック・ジェニングスはトロント大学現代史教授。複数の地域にわたるフランス植民地史の専門家として知られ、Vichy sous les Tropiques 『熱帯地方のヴィシー政権』(グラッセ、2004年)、La France Libre fut africaine 『自由フランスはアフリカのものだった』(ぺラン、2014年)、Les bateaux de l’espoir : Vichy, les réfugiés et la filière martiniquaise, 1940-1943『希望の船―ヴィシー政権、難民、マルティニークのルート, 1940〜1943』(CNRS出版会、2020年)など、8冊の著書がある。彼の業績の一つであるバニラの世界史は近年、英語ではイェール大学出版会から、フランス語では 国立科学研究センター(CNRS)出版会 からUne histoire globale de la vanille『バニラの世界史』というタイトルで出版された。

【司会】フランク・ミシュラン(帝京大学)
【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。

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