5月
19
2026

2011年の福島第一原発事故は、日本の東北地方に大量の放射性物質の堆積と16万人以上の人々の避難をもたらした。事故から15年経過したいま開催される本講演会では、この環境的・人的危機と日本の行政の対応について学際的な視点から振り返る。食品汚染の問題と同様、放射性物質の移送や除染対策の影響などにも触れる。環境面に加えて、まだ部分的に避難の続くエリアで継続されている復興活動とその成果、地元回帰促進の取り組みについても再び言及する。さらに、早稲田大学災害復興医療人類学研究所ネットワークとNHKと協働で、3000人の元住民に対して行ったアンケート調査の一部を特別に紹介する。

福島における放射能汚染 ー 事故発生から15年後の現状

2011年3月に起こった福島第一原発事故により、大量の放射線物質が環境中に放出され、その一部は日本の北西部の土壌に入り込んだ。完全に除去するのに300年かかると言われるセシウム137は、放射性降下物の影響を受けたエリアに残存する最も厄介な物質である。原発事故から15年経ち、このプレゼンテーションでは、放射性物質の環境における移行について明らかになっていることを総括する。とりわけ、耕作地や住宅地における除染プログラムの影響、森林や河川への汚染物質の移行を取り上げ、また食品汚染についても言及する。さらに、日本列島各地で再発が続く山火事が放射能汚染の飛散に及ぼす影響についても議論する。

オリヴィエ・エヴラール(CEA、MITATE Lab、LSCE、パリ=サクレー)

オリヴィエ・エヴラールは2008年ベルギーのルーヴァン大学にて地球科学の博士号を取得。土壌科学、景観・河川学の交わる領域で、土壌侵食と水汚染(放射性か否かを問わず)を専門的に研究している。フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)研究ディレクターを着務める傍ら、パリ=サクレーの気候環境科学研究所(LSCE)研究員、MITATE Lab副所長を兼任する。

大きな転換を迎える地・福島 – 誰にとっての変化か? 15年間の追跡調査

福島原発事故から15年の月日が流れた今、いまだ一部に避難指示が出されている区域の復興が議論されている。このプレゼンテーションでは、復興政策の変遷を、古い村落の破壊によって生じた変化や、大きな移行期にある地域の土地利用の変化に焦点を当てながら解説する。これは、建築遺産の保存または消滅を通じ、記憶の役割を問う機会となる。また、関連事項として、避難指示区域の住居、住民の帰還意向、帰還しない理由に関する調査結果を発表する。この大規模なアンケート調査は、本講演会司会の辻内琢也氏が所長を務める早稲田大学災害復興医療人類学研究所ネットワークとNHKと協働で、2025年7月、3000人の避難指示区域の元住民に対して行われた。この調査結果をフランス語で公表するのは今回が初めてとなる。

セシル・浅沼=ブリス(フランス国立科学研究センター、MITATE Lab所長)

セシル・浅沼=ブリスは、フランス国立科学研究センター (CNRS) 研究員。2000年より日本在住。CNRS、CEA、福島大学と共同で、原発事故以降の福島を調査する日仏国際共同研究プログラム「MITATE Lab Post Fukushima Studies」を主宰。社会科学高等研究院 (EHESS)にて、都市計画学および人文地理学の2つの分野で学位を取得し、福島原発事故のもたらした社会環境的影響や、日本の都市の現代の変化について研究を続ける。同テーマに関する多数の記事を執筆し、2冊の著書を発表。Un siècle de banlieue japonaise : au paroxysme de la société de consommation (Métispresse, 2019)『日本の郊外の100年ー消費社会の絶頂期』(メティスプレス、2019年)Fukushima, dix ans après. Sociologie d’un désastre (MSH, 2021)『フクシマ、 あれから10年 ー 被災地の社会学』(MSH, 2021年)。

【司会】辻内琢也(早稲田大学、早稲田大学災害復興医療人類学研究所所長)

【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。

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