7月
25
2025

日本国内の過疎化がすすむ一方で、首都・東京の人口は15年ほど前から増え続けている。この歪みは一体どうして起こるのだろうか。そして、それは日本および東京の発展にどのように影響するのだろうか。かつて政治と産業の中心だった関西の中心都市である大阪では、1990年代に既に東京優位の問題が指摘されていた。2010年代に入ると、首都圏への一極集中がその他の地域に不利益をもたらす動きがさらに強まったようだ。日本の発展を牽引していた東京の建設は、いまや日本の崩壊をもたらしているのだろうか。

日仏会館・フランス国立日本研究所での4年間にわたる研究活動の最後を飾る本講演会で、ラファエル・ランギヨンは、東京の建設と日本の建設の間の弁証法的な関係に迫る。「遺産の空間的固定」という概念を掲げ、彼は、都市開発と政治体制の関係、より具体的には、東京と日本の関係を考えるための新しい論理を初めて提唱した。spatial fix(空間的回避)に関する新マルクス主義的研究と、都市構造の新契約主義的ビジョンとを交差させたこの提案は、東京を、その開発によって、日本の歴代の政治体制を固定し安定させる巨大な空間装置として捉え、都市開発の批判的政治経済学の分野の社会契約の空間表現に関する考察を新しくするものである。

本講演会では、長期間にわたる東京への資本蓄積の歴史と並行して、2002年に成立・施行された都市再生特別措置法による首都圏の再生政策について、1980年代のバブル以降の東京の変容と関連づけながら詳細な分析を行う。近年激化する首都のリノベーションがもたらしうる国の崩壊は、遅れた資本主義(あるいは「成熟」した資本主義)の特徴の一つであることを示している。そして、この資本主義は、人口と経済の衰退という文脈において、「カニバリズムの蓄積」による遺産の空間的固定という形をとる。

キーワード:開発、資本/首都、建設、崩壊、遺産の空間的固定、日本、新契約主義、新マルクス主義、政治体制、領土、東京

ラファエル・ランギヨン=オセル
エコール・ノルマル・シュペリウール卒業、地理学・都市計画博士。フランス国立日本研究所研究員。ジュネーヴ大学環境ガバナンス・領土開発研究所およびストラスブール大学所属スポーツ社会科学研究所の協力研究員を務める。

【司会】細野助博(中央大学名誉教授)
【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。

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