3月
19
2026

「リベラリズム」という言葉は、フランスでは時に不評を買う言葉である。おそらくそれは誤解によるもので、かつて「リベラリズム」は、特にトクヴィル、セイ、コンスタン、バスティアに代表される19世紀の主要な学者たちによって、政治・経済思想の一派として称えられ、高い評価を得ていた。20世紀末になると、外国から輸入された思想により、フランスでも日本でも「リベラリズム」という言葉はネガティヴな意味を持つようになった。ほんの数名の例を挙げると、F・ハイエク、J・ロールズ、A・セン、P・ヴァン・パリースなどの思想家が、それぞれ独自のやり方で、社会的、政治的、経済的正義、自己責任、そして起業家精神の協調といった問題の政治的側面と経済的側面とを融合させた。

フランスと日本におけるこの思想潮流の現状を理解するために、自由主義思想家たちの受容の歴史的文脈を、その原点に遡って考察し、著作物の中だけでなくより広い観点から彼らの立場を特徴づける概念を特定することが有益である。この統合を達成するには、経済思想史と経済哲学を組み合わせる必要がある。本講演会において、有江大介氏による日本におけるアダム・スミスの受容に関する発表と、ジル・カンパニョーロによる個人のニーズに関する責任の概念に関する発表は、互いに内容を補完し合い、この問いに答えようとするものである。

ジル・カンパニョーロ(フランス国立科学研究センター、パリ第1パンテオン・ソルボンヌ大学、「責任・選択・調整」プロジェクト)

ジル・カンパニョーロは、フランス国立高等師範学校卒、哲学の教員資格・博士号取得。ハーバード大学および東京大学研究フェロー、フランス国立科学研究センター研究ディレクター、ソルボンヌ大学現代哲学センターメンバー。2019年から2023年までロンドン・スクール・オブ・エコノミクス准教授を務める。自由主義思想(特にオーストリア学派)、また、日本におけるヨーロッパの自由主義思想の受容を専門とする。2020年から2022年まで、日仏会館・フランス国立日本研究所にフランス国立科学研究センター代表として在籍時、アドリエンヌ・サラとともに、複数の講演会を共同主催し、またThe Future of Liberalism『経済哲学誌』(2024年6月)の「正義、利益、司法化」を共同編集した。現在、フランス、ヨーロッパ、カナダ、東京(IFRJ、東京大学、早稲田大学)のCNRS-SHS研究ユニットを結集する国際研究ネットワーク「責任、選択、調整」(ReCCord)の主任研究員を務める。

有江大介(東京大学経済学部客員研究員、横浜国立大学名誉教授)

【ディスカッサント】有江大介
1951年生まれ、横浜国立大学名誉教授・東京大学経済学部客員研究員、経済学博士。東京大学経済学部卒業、大学院経済学研究科単位取得退学。The University of Edinburgh、University College London, Università di Pisaにおいて研究を行う。本講演会関連論文として、「覚書:わが国のアダム・スミス研究の特色――水田洋氏の業績とAdam Smith’s Library: A Catalogue (2000) から見て――」、『東京大学経済学部資料室年報』4号(2013)、A Compromising Preacher: Bishop Butler as a Proto-Political Economist, in D. Arie et al. ed. Joseph Butler: A Preacher for Eighteenth-Century Commercial Society, Singapore: Springer, 2024.がある。

【司会】アドリエンヌ・サラ(早稲田大学、国際研究ネットワーク「責任・選択・調整」プロジェクト)

【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所
【協力】国際研究ネットワーク「責任・選択・調整」プロジェクト

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。

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