12月
10
2025

日本では近年、家族や生殖に関するいくつかの訴訟が提起され、その中のいくつかは現在も継続中である。強制不妊手術を認めた旧優生保護法を違憲として、被害者らが国に損害賠償を求めた旧優生保護法違憲国家賠償請求訴訟や、婚姻時の夫婦同姓の義務付けに反対する訴訟、また同性婚の制度化の要求などである。これらの運動は同一の戦略、つまり裁判所への訴えという点で共通しているが、そこにはもっと一般的に求められている法原則を見出すことができる。それは、婚姻の自由である。この原則の本質を、理論的または具体的な側面両方で、時には人々を差別不可能にする手段として、また時には違いによって人々を分類する手段として取り上げて検証することがこれまでになく重要であると思われる。

小沼イザベル(フランス国立東洋言語文化大学)

小沼イザベルはフランス国立東洋言語文化大学(Inalco)教授、フランス国立東アジア研究所(IFRAE, UMR 8043)の正会員。日本の法律と法の歴史を専門とし、明治時代から今日までの家族の分析、生殖コントロール、移民管理を含む人口政策、また外国人の地位やジェンダーの平等の分野での法的取り組みに焦点を当てた研究を続ける。最新の研究では優生学を取り上げている。(Eugénisme au Japon, Politique et droit de 1868 à 1996, Paris, Ined éditions, 2024 『日本の優生学 1868年から1996年までの法と政策』イネド社、2024年)

【司会】アメリ・コーベル(早稲田大学)
【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所
【助成】フランス国立東洋言語文化大学、IFRAE

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。

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