11月
25
2021

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© Vlad Kochelaevskiy

第6回目となる今回のウェビナーでは、フランス、日本、アメリカにおける男女生差別の観点から労働法を議論します。続いて、ディアーヌ・ロマン氏(パリ第1大学)が、25年にわたるフランスの男女平等に関する立法を検討し、中窪裕也氏(一橋大学)が、日米の職場における性差別に対する法律、特に司法判断を比較して議論します。最後に、中野麻美氏(弁護士)が、職場での性差別に対する司法闘争の形態について、自身が法律家として弁護した賃金差別事件を中心に説明します。これに続き、伊東由紀子氏(INALCO)がディスカッションを行います。

連続講演会 「社会問題・労働問題・環境問題に関する訴訟の役割―日仏比較の視点から」
 第6回

日本とフランスにおける女性の権利、性差別と労働法

ディアーヌ・ロマン(パリ第一大学)
法律とフェミニズム:フランス議会の迷走

要旨:フランスの議会では、どのようにして男女平等に向けた主張への言及が行われているのか?本講演では、講演者が執筆した最近の論文「Droit et féminisme : les hésitations du Parlement français(法とフェミニズム:フランス議会の躊躇い)」、(Pouvoirs n°173 – June 2020 – Les nouveaux féminismes – pp.27-38)の延長線上で、直近25年間のフランスの立法を振り返ることを試みる。社会からの圧力とフェミニストの動員により、フランス議会は1990年代半ば以降、女性に対する暴力の撲滅、職業上の平等の向上、差別の撤廃を目的とした数多くの法律を採択した。フランスの法律は、フェミニズムの成果を統合したと考えていいのだろうか。男女平等の肯定、パリテに向けた措置の採用、ジェンダー問題の認識の間で、実際に採用された措置は、その有効性と野心の両面において疑問を投げかけている。

プロフィール:パリ第1パンテオンソルボンヌ大学法学部の教授であり、ソルボンヌ法哲学研究所(UMR CNRS-Paris 1)のメンバー、同研究所の「ジェンダーと規範」グループの共同責任者である。基本権について、平等と社会正義の交差する視点からアプローチしている。著書として、Droits de l’Homme et libertés fondamentales (avec S. Hennette-Vauchez, Dalloz, 5e éd. à paraitre 2022), La loi & le genre, études critiques de droit français (avec S. Hennette-Vauchez et M.Pichard, Editions du CNRS, 2014) et La cause des droits. Ecologie, progrès social et droits humains, Dalloz, à paraitre 2022)などがある。

中窪裕也(一橋大学)
雇用上の性差別に対する立法と訴訟 ― アメリカと日本

要旨: 今日の先進諸国の男女雇用平等法制のルーツは、アメリカの1964年公民権法の第7編にあります。人種差別を禁止する法案の審議の最終段階で「性」差別の禁止が追加され、採用から解雇まで、雇用の全局面がカバーされました。しかし、何が性差別に当たるのかは必ずしも明らかではなく、以後の訴訟で判例が積み重ねられ、法理が発展して行きます(昨年刊行の拙訳書『雇用差別と闘うアメリカの女性たち―最高裁を動かした10の物語』を参照)。本講演では、このようなアメリカの状況を、日本の1985年の男女雇用機会均等法の制定やその後の改正の経緯と対比し、日米の立法プロセスの違いや訴訟の意義について考えます。

プロフィール:1980年、東京大学法学部卒業。同助手として研究生活を開始し、福岡大学、千葉大学、九州大学を経て、2007年4月より一橋大学に勤務。現在、同大学大学院法学研究科特任教授。その間、ハーバード・ロースクールでLL.M.課程を修了。アメリカ法との比較から労働法を研究。主著は『アメリカ労働法(第2版)』(弘文堂、2010年)、『労働法の世界(第13版)』(共著、有斐閣、2019年)、訳書として、リリー・レッドベターほか著『賃金差別を許さない!―巨大企業に挑んだ私の闘い』(岩波書店、2014年)、ジリアン・トーマス著『雇用差別と闘うアメリカの女性たち―最高裁を動かした10の物語』(日本評論社、2020年)。

中野麻美(弁護士)
職場における性差別との闘い

要旨:弁護士としてだけでなく、NPO派遣労働ネットワークの理事長として扱ってきた賃金差別事件を中心にご紹介します。

プロフィール:1975年に北海道大学法科大学院を卒業し、1979年に東京弁護士会に登録した弁護士で、労働法を専門としている。NPO派遣労働ネットワークの理事長。日本労働弁護団常任幹事。

【ディスカッサント】伊東由紀子(フランス国立東洋文化大学、大阪市立大学)

プロフィール:フランス国立東洋言語文化学院において2020年から博士後期課程(社会学、日本学)に所属。また2021年度は大阪市立大学 都市文化研究センター研究員。博士論文では、 伝統的なメディアと性暴力反対運動の視点から、またそれらのSNSとの関係性から、日本社会で性暴力という問題がどのように可視化されるのかというテーマで研究を行っている。EHESS日仏財団(FFJ)においては、2018年からパートナーシップ・国際関係担当も務めている。

【司会・連続講演会担当者】アドリエンヌ・サラ(日仏会館・フランス国立日本研究所)

【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所
【助成】フランス国立社会科学高等研究院・日仏財団

連続講演会 「社会問題・労働問題・環境問題に関する訴訟の役割―日仏比較の 視点から」

2021年01月20日(水):第1回「環境損害の賠償、国家責任、気候変動訴訟、環境法
イザベル・ジロドゥ(東京大学)、大久保規子(大阪大学)、エヴ・トリュイレ(フランス国立科学研究センター)
【ディスカッサント】高村ゆかり(東京大学)

2021年02月04日(木):第2回「福島原発訴訟による政策形成の可能性:公害・環境訴訟の経験を踏まえて
ポール・ジョバン(中央研究院)、馬奈木厳太郎(弁護士)、除本理史(大阪市立大学)
【ディスカッサント】小嶋里奈(技術土地社会研究所、ギュスターヴ・エッフェル大学)

2021年05月27日(木):第3回「法と労働安全衛生
笠木映里 (フランス国立科学センター、ボルドー大学)、川人博 (弁護士)、ジェローム・ペリス(パリ政治学院)
【ディスカッサント】アドリエンヌ・サラ(日仏会館・フランス国立日本研究所)

2021年06月24日(木):第4回「日仏における法の社会的・政治的使用:大義(コーズ)と関連付けた活動・運動の例
リオラ・イスラエル(フランス国立社会科学高等研究院)、飯田 高(東京大学)【ディスカッサント】高村学人(立命館大学)

2021年10月27日(水):第5回「日原発訴訟からエネルギー転換訴訟へ?日本とフランスのエネルギー分野における司法化のあり方とその変遷
マガリ・ドレフュス(フランス国立科学研究センター、リール 大学)、飯田哲也(環境エネルギー政策研究所)、河合弘之(弁護士) 【ディスカッサント】レミ・スコシマロ(トゥールーズ・ジャン・ジョ レス大学、日仏会館・フランス国立日本研究所)

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。

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