Maison Franco-japonaise: 日仏会館 日仏会館・フランス国立日本研究所(Umifre 19 フランス外務省・国立科学研究センター)

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連続講演会 「社会問題・労働問題・環境問題に関する訴訟の役割―日仏比較の 視点から」

福島原発訴訟による政策形成の可能性:公害・環境訴訟の経験を踏まえて


(通訳付き)
日時: 2021年02月04日(木) 18:00〜20:00
場所: オンライン
講演者: ポール・ジョバン(中央研究院)、馬奈木厳太郎(弁護士)、除本理史(大阪市立大学)
【ディスカッサント】小嶋里奈(技術土地社会研究所、ギュスターヴ・エッフェル大学)
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裁判官の介入は、医療、労働、環境、ビジネスなど、社会的、経済的、財政的な生活のさまざまな領域にまで及んでいる。これまで司法の介入が少なかった分野での訴訟の増加は、フランスや日本では20年以上、米国では半世紀近く前から見られる傾向である。それは「司法化」という言葉の広まりからもわかるだろう (e.g. Scheingold 1974; Shapiro & Stone Sweet 2002; Pélisse 2003, 2009, 2020; Commaille & Kaluszynski 2007; Foote, Kawai, Moriya, Kakiuchi, Kaminaga, Wada, Tomohiko & Ota 2009; Murayama 2013; Steinhoff 2014)。

訴訟を用いるということ自体は新しいことではないが、この連続講演会では、訴訟・司法手続を用いることについて、とりわけその社会的・法的・経済的・政治的な条件や、その背景、法を使う様々なアクターに焦点を当てたい。フランスと日本の研究の比較は、「司法化」という用語が包含する異なる理論的定義と現実の適用のあり方を理解し、以下のような問いに答えるための独自の方法を提供している。すなわち、各国における司法化の実践は、「アメリカ化」という意味で収束しつつあるのか、そしてこの収束の決定要因となっているのは何か(Kagan, 2007)。それとも、むしろ国ごとの特異性が維持されているといえるのだろうか、その場合、各国の特異性はどのように進化しているのだろうか(Rosa 2012)。


連続講演会 「社会問題・労働問題・環境問題に関する訴訟の役割―日仏比較の視点から」
 第2回


ポール・ジョバン
「 フランスと台湾の集団訴訟から見た福島原発訴訟」

要旨 :
2011年3月の原子力災害は、近現代の日本の歴史を彩った多くの産業災害と同様に、日本全国で数千人の原告を巻き込んだ数多くの訴訟を巻き起こした。前代未聞の市民運動が発端となった刑事訴訟のほか、民事集団訴訟が約30件、行政集団裁判が2件ある。これらの訴訟は、この災害の発生源について問いかけるのは勿論であるが、放射能という問題を考慮に入れれば、その将来についても根本的な疑問を投げかけているといえるだろう。フランスや台湾の類似事例との比較を通じて、これらの訴訟は、請求されている賠償額は少額であるものの、現代日本にとって、また、産業・技術科学的損害をめぐる他の訴訟にとっても、非常に重要なものであることを示したい。

プロフィール:
台湾・中央研究院社会学研究所のリサーチアソシエイト。2011年3月の原発事故前後の福島の原発作業員に関する研究を行った。日本と台湾の主要な産業災害事例に関して、諸外国との比較研究を行っている。

馬奈木厳太郎
生業訴訟が問いかけるもの、目指すもの

要旨:
「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟は、原発事故の被害者4500名が国(政府)と東京電力を被告に、責任を明らかにするとともに、原状回復と損害賠償を求めた訴訟である。原発事故を公害ととらえ、①原状回復、②あらゆる被害者の救済(全体救済)、③脱原発を目的として法廷内外で取り組んでいる。全国最大の原告団を擁し、事故地である福島で提訴した生業訴訟は、他の同種訴訟とも異なる特徴を有している。それらは、公害訴訟の伝統を継承しつつ、新たな戦略を取り入れたものであり、新たな政策形成訴訟のモデルとなりうるものである。法廷内の戦略・法廷外の戦略を紹介しつつ、判決を手がかりとして立法化・制度化を目指す構想について概観する。それらを通じて、声をあげれば社会は変えられるということ、政府の法的責任を果たさせる政治的責任が国民にはあるということを問いたい。

プロフィール:
1975年生まれ。大学専任講師を経て現職。 生業訴訟のほか、福島県広野町の高野病院、岩手県大槌町の旧役場庁舎解体差止訴訟、N国党市議によるスラップ訴訟などの代理人を務める。演劇界や映画界の#Me Tooやパワハラ問題も取り組んでいる。ドキュメンタリー映画では、『大地を受け継ぐ』(井上淳一監督、2015年)企画、『誰がために憲法はある』(井上淳一監督、2019年)製作、『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』(平良いずみ監督、2020年)製作協力、『わたしは分断を許さない』(堀潤監督、2020年)プロデューサーを務めた。演劇では、燐光群『憲法くん』(台本・演出 坂手洋二)の監修を務めた。
著書(共著)に、『あなたの福島原発訴訟』(2013年)、『国と東電の罪を問う』(2014年)、『福島を切り捨てるのですか』(2015年)などがある。

除本理史
「原発被害者集団訴訟と復興・賠償政策の転換」

要旨 :
戦後日本の公害・環境訴訟は、加害責任の解明を通じて、原告の範囲にとどまらず救済を広げ、あるいは被害の抑止を図る制度・政策形成の機能をも果たしてきた。四日市公害の例を挙げると、原告は9人だけだったが、裁判で加害企業の法的責任が明らかになったことから、1973年に公害健康被害補償法がつくられ、10万人以上の大気汚染被害者の救済が実現した。福島原発集団訴訟の原告たちも、賠償や復興政策の見直し、それらを通じた幅広い被害者の救済と権利回復をめざしている。福島復興政策では、個人に直接届く支援施策より、インフラ復旧・整備などが優先される傾向がある。一人ひとりの生活再建と復興に向けて、きめ細かな支援策を講じていくこと、長期的な視点をもって腰を据えた取り組みを継続することが強く求められている。被害者の取り組みが政策転換と救済の拡大につながるのか、今後の展開を注視すべきである。

プロフィール:
大阪市立大学大学院経営学研究科教授。博士(経済学、一橋大学)。専門は環境政策論・環境経済学。公害問題、福島原発事故の賠償や被災地の復興を研究。著書に『公害から福島を考える』(岩波書店)など。

小嶋里奈

プロフィール:
ギュスタフ エッフェル大学ポストドクター研究員。2012年より、数々の日仏研究プロジェクトに参加し、福島原発事故の社会影響を分析する。2020年、パリ東大学にて、社会学の博士号を取得。博士論文タイトルは「フクシマ後の復興:リスクによる自己責任化と脆弱化」。現在は、リスクや災害時における人々の「時空間的軌跡」をテーマに研究を行っている。



【司会】アドリエンヌ・サラ(日仏会館・フランス国立日本研究所)
【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所
【助成】フランス国立社会科学高等研究院・日仏財団

* 日仏会館フランス事務所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページのイベントカレンダーからの申込みが必須となります。警備強化のため、当日の受付に際しては身分証明書の提示をお願いしております。

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