彩飾写本と図像サイクルにおける美術と文学 中世文化のあらたな歴史にむけて
[講演会] クリスチャン・エック (リール第3大学、フランス大学学院)
14:00 - 16:00 1階ホール フランス語
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【要旨】
2007年から進行しているフランス大学学院の研究プロジェクト「中世の書物における知のネットワークおよび百科全書的空間としての図像サイクル」の一環として、中世文学の図像目録(RILMA)が作成された。RILMAの資料集の各巻においてはあらゆるジャンルの中世文学作品の図像サイクルが解説と共に完全な形で複製されている。本講演では主として Ci nous dit の1340年頃に成立したと考えられるシャンティイ写本に収録された800にのぼる彩飾図像サイクルを取り上げる。これは在俗者のためにフランス語で書かれた、中世末の文化と宗教生活の歴史にとって重要なテクストである。その構成は一人の平信徒が個人的に触れることのできたキリスト教文化と倫理に関わる彩飾図像サイクルの真の姿を明らかにしてくれる。今まで未公開だったこの図像資料集は、視覚文化、文学創造そして宗教的探求のあいだの統合を示す希有な例である。
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【プロフィール】
コルマールのウンターリンデン美術館主任学芸員、ルーヴル学院教授(絵画史)を経て、現在はフランス大学学院の上席会員(中世図像学講座)でありリール大学教授(美術史)。図像学、彩飾写本、中世末期のアルプス北方地域の絵画を専門とし、RILMAの責任者を務めている。
- 【共催】日仏美術学会