Maison Franco-japonaise: 日仏会館 日仏会館・フランス国立日本研究所(Umifre 19 フランス外務省・国立科学研究センター)

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2019年07月08日(月)

「バンド・デシネをフランス語で読む」第2回レポート

5月28日(火)と29日(水)の18時半から日仏会館図書室読書会「バンド・デシネをフランス語で読む」第2回を開催しました。両日とも使用するテキストは同じです。

日仏会館図書室 読書会
バンド・デシネをフランス語で読む 第2回
日時:2019年5月28日(火)、29日(水)18時半~20時 
場所:日仏会館図書室
とりあげた作品:Aurélia Aurita, Je ne verrai pas Okinawa, Les Impressions Nouvelles, 2008
参加人数:5月28日(火)6名/5月29日(水)13名
進行役:原正人氏 

日仏会館図書室では、バンド・デシネをフランス語の原書で読む読書会を今年4月から開催しています。進行役を務めてくれたのはバンド・デシネの邦訳を多く手がけている原正人氏です。原氏による読書会の趣旨の説明に続いて、参加者全員に簡単に自己紹介をしていただき、読書会がスタートしました。
なお、「日仏会館図書室 読書会 バンド・デシネをフランス語で読む」は、今後、月1回ペースで開催していく予定です。ご興味のある方は、当図書室の告知をご確認のうえ、お気軽にご参加ください。
Atelier lecture 2.png 以下、原正人氏による読書会の報告です。

今回取り上げた作品は、オレリア・オリタの『私は沖縄を見ることができないだろう』(Aurélia Aurita, Je ne verrai pas Okinawa)。2008年にLes Impressions Nouvelles(レ・ザンプレッション・ヌーヴェル)社から出版されました。
日仏会館BD読書会第1回_Aurita-Okinawa.jpgのサムネイル画像 オレリア・オリタの作品にはいくつか日本語で読めるものが存在します。『JAPON』(関澄かおる、フレデリック・ボワレ訳、飛鳥新社、2006年)に収録された「台風」、そして今年2019年に邦訳された『苺とチョコレート』(関澄かおる訳、リイド社、2019年)。
   『私は沖縄を見ることができないだろう』は『苺とチョコレート』の続編的な位置づけの作品(『苺とチョコレート』には第2巻があるので、それに続く作品)で、2008年当時、頻繁に日本を訪れていた彼女が、入国管理局で足止めされ、思わぬ尋問を受け、その後ようやく無事入国することができた顛末を描いています。『苺とチョコレート』を翻訳している関澄かおるさんが、以下のサイトで『オキナワ・モナムール』と題して作品の一部を翻訳しています。http://www.vie-style.net/culture/manga/
   今回、訳読の対象となったのは冒頭からP21まで。前回同様、基本的には参加希望者に事前にテキストを渡し、予習してきてもらいました。当日その場で当てられた箇所をひとり1コマ~1ページくらいの単位で訳してもらい、必要に応じて文法事項や背景情報をみんなで補足し合いました。
   前回取り上げたケイ・ラム『バナナガール』(Kei Lam, Banana Girl)は、作者自身の一人称の語りが多い、小説とバンド・デシネの中間のような作品だったのですが、今回の『私は沖縄を見ることができないだろう』は、フキダシの多い、よりバンド・デシネらしい作品です。絵柄も伝統的なバンド・デシネよりは日本のマンガに近いので、バンド・デシネに慣れていない人にとっても読みやすかったのではないかと思います。実際、参加者の皆さんからは、読みやすい、面白いという声が聞かれました。
もっとも今回訳した箇所には、映画『未来世紀ブラジル』、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』、クロード・フランソワの曲「いつものように(Comme d’habitude)」、アラン・レネの映画『24時間の情事(Hiroshima mon amour)』などさまざまなレフェランスが登場するほか、日常会話以外に空港の注意書きや機械の音声など、異なる種類の言葉が登場するため、読解はともかくとして、翻訳は案外難しかったかもしれません。

今後も引き続きさまざまなバンド・デシネを読んでいきたいと思います。

次回:2019年6月26日(水)及び28日(金)


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