4月24日(水)18時半から日仏会館図書室読書会「バンド・デシネをフランス語で読む」第1回を開催しました。

日仏会館図書室 読書会
バンド・デシネをフランス語で読む 第1回
日時:2019年4月24日(水)18時半~20時
場所:日仏会館図書室
とりあげた作品:Kei Lam, Banana Girl, Steinkis, 2017
参加人数:28名
進行役:原正人氏

日仏会館図書室では、バンド・デシネをフランス語の原書で読む読書会を今年4月から開催しています。進行役を務めてくれたのはバンド・デシネの邦訳を多く手がけている原正人氏です。今回は初めての開催ということもあり、まずは冒頭で原氏に読書会の趣旨について簡単に説明していただきました。その後、参加者全員に簡単に自己紹介をしていただき、読書会がスタートしました。
なお、「日仏会館図書室 読書会 バンド・デシネをフランス語で読む」は、今後、月1回ペースで開催していく予定です。ご興味のある方は、当図書室の告知をご確認のうえ、お気軽にご参加ください。

以下、原正人氏による読書会の報告です。

本読書会は、バンド・デシネをフランス語で楽しむ日本人読者が増えてほしいという願いを込めて始められたものです。読書会といっても、事前に作品全体を読んでおいて意見を述べ合うものではなく、作品の冒頭部分を参加者が順番に訳していき、必要に応じて意見を述べ、背景情報を共有し合う訳読です。
今回とりあげた作品は、ケイ・ラム『バナナガール』(Kei Lam, Banana Girl)。2017年にフランスのSteinkis(スタンキス)社から出版された作品で、今のところまだ邦訳はされていません。

『バナナガール』は、作者ケイ・ラムの自伝的作品です。もともと香港に住んでいた彼女は、1990年代初頭、小学生の頃に母と一緒にパリに到着します。ふたりは、画家になるべくパリにやってきていた父に久しぶりに会って、すぐに香港に帰るつもりだったのですが、強引な父のせいで、そのままパリで暮らすことになってしまいます。言葉も通じない異国に突然放り込まれた幼いケイ・ラムは、さまざまなカルチャーギャップに直面します。彼女は当時の体験を思い出しながら、本書を通じて、パリに住む中国人という自身のアイデンティティについて考察していくことになります。
本作はバンド・デシネとはいえ、コマ割りがなく、セリフもほとんどありません。テキストは多いのですが、それらはほぼ作者自身の一人称の語りです。そういう意味で小説に近く、ある程度フランス語を読むことに慣れていれば、バンド・デシネに馴染みがない人にとっても読みやすい作品だと言えるでしょう。
訳読の対象となったのは、冒頭からP21まで。参加希望者には事前にテキストを渡し、予習してきてもらいました。当日その場で当てられた箇所をひとり数行ずつ訳してもらい、必要に応じて文法事項や背景情報をみんなで補足し合いました。
物語の舞台になった1990年代初頭のパリに滞在していたという参加者が数名いて、当時のパリの様子や主人公一家が生活していたという女中部屋などについて、本を読むだけではなかなかわからない部分を説明していただけたのはよかったと思います。
初めてバンド・デシネを読んだという参加者も数名いましたが、実際に読んでみた印象として、読みやすく、内容的にも興味深かったとのことでした。

新しいバンド・デシネについては、どのような作品があるか、日本ではあまり知られていないのが現状です。興味はあるけど何から読んだらいいかわからないという人は、ぜひこの読書会を通じてバンド・デシネに親しんでいただけたらと思います。
次回:2019年5月28日及び29日

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