4月
28
2010
  • 講師プロフィール:

    高等師範学校卒業、芸術哲学の高等教育教授資格(アグレガシオン)および博士号を取得。パリ第4大学で哲学を、ナンシー国立高等美術学校で映画美学を講じる。主に映画装置に結びついた知覚に関する研究を行い、1945年から1965年にかけてのフランス映画および日本映画を専門とする。Trafic誌やPositif誌などの映画専門誌に寄稿するほか、哲学と知覚をテーマにした博士論文および著作がVrin社から2010年に出版される予定である。現在、早稲田大学の交換研究員。

  • 講演要旨:

    映画装置は世界を観客の前で展開されるひとつのオブジェとし、映画は知覚の科学に適した研究対象のように見える。知覚の科学は、映画という特有の対象をあらゆる点において、しかももっとも定義しにくい“様式”について検討することを可能にする。実験心理学は映画研究において有力な分析手段となるが、それはまさに実験心理学が映画とおなじく知覚の二重の装置を想定しているからである。検討されるべきは、知覚心理学(特にゲシュタルト心理学)がいかにして映画における様式を明らかにすることができるかということである。そのためには映画の様式を遠くにある対象として扱うことが必要であり、我々の存在と密接に関わり、客観と主観の区別を曖昧にしてしまうような様式を扱う場合には知覚心理学には限界がある。

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。