2月
25
2010
  • 協力:帝京大学
  • 講演要旨:

    本講演では、1945年以降の大衆観光の歴史について、実践と組織化がいかになされたかに焦点を当て、その象徴的な成果と表象を中心に分析を行う。庶民階級と労働者の世界を対象に、ストライキと社会闘争からではなく余暇の観点から考察する。庶民階層の分析により、労働者グループと広い意味での労働運動(アソシエーション、労働組合)および共産党とのあいだの諸関係を明確にする必要性が浮き彫りとなる。特に、フランス労働総同盟(CGT)と共産党に近い《観光と労働》アソシエーションの指導者たちの失望は大きかった。彼らの期待に反し、休暇を過ごす人の多くは人民の教育的側面に関心を持たず、共に過ごす喜びや純粋な娯楽を優先し、歴史的建造物よりはショッピングに興味を持ったのである。このことは、昔からブルジョワ階級のエリートたちが実践していた教養ある余暇の過ごし方を鑑みるに労働者の余暇の正当性に疑問を呈することとなった。

  • 講師プロフィール:

    歴史学博士(パリ第8大学)、歴史学の高等教育教授資格(アグレガシオン)取得。スイスのクルト・ボッシュ学院で教鞭を執る。学術論文を多数発表し、最近ではパリの Presses de Sciences Politiques から Tourisme et travail, de l’éducation populaire au secteur Marchand (1945–1985) を出版している。

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。