4月
19
2018

近年、ショッピングモールは“脱都市化”の装置と考えられたり “非—場所”(マルク・オジェ、1992年)と結び付けられることが多い。その土地の風景を破壊して均一的な風景を造り出す、金融のグローバル化を体現する都市の“事物”ととらえられているのだ。しかしショッピングモールは最近出現したものではなく、最新の施設にしても都市部の多様な商業空間の一形態が変化したものにすぎない。SNS にアップされる“モールめぐり”の写真を見ても明らかなように、今やショッピングモールとは部分的であれ全体であれ“行くべき場所”となっている。本セミナーでは最新のショッピングモールの特徴を検討し、商業空間の発展とそれに伴う批判を歴史的かつ地理的に俯瞰しながら整理する。その上で、ショッピングモールとは、消費が究極の社会的かつ政治的な目的であるかのように祭り上げて社会の“商品化”に与する装置であるという批判について考えたい。この場合、社会的交換は商業的交換となる。観点を変えて都市の風景におけるショッピングモールの現象学的側面に着目したい。

プロフィール

ナタリー・ルマルシャンはパリ第8大学地理学教授、社会推進/空間再構築(LADYSS)研究所(パリ)副所長。商業、消費、空間開発の関係学を専門とする。また、国際地理学連合副議長も務めている。

【司会】ソフィー・ビュニク(日仏会館・フランス国立日本研究所)
【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。