第33回渋沢・クローデル賞受賞記念講演
九州のカトリック信徒・潜伏キリシタンに関する新しい考察(19世紀)
使用言語:
フランス語 (通訳付き)
日時: |
2017年01月27日(金) 18:30〜20:30 |
場所: |
1階ホール |
講演者: |
マルタン・ノゲラ=ラモス(フランス国立極東学院) |
1865年3月17日の朝、浦上の十数人の村民はパリ外国宣教会によって建立されたばかりの大浦天主堂に赴いた。彼らは天主堂にて「ここにおります私たちは、皆あなたさまと同じ心でございます」とベルナール=タデ・プチジャンという神父に告げた。「心」は信仰という意味である。実はそれらの村民は「キリシタン時代」(16~17世紀)のカトリック信徒の子孫であった。学問上、隠れキリシタンあるいは潜伏キリシタンと呼ばれている。
潜伏キリシタンの発見以来、禁教政策の続く中にもかかわらず、九州の数千人もの農民と漁師はフランス人宣教師と連絡を取り、徐々にカトリック教会への所属を表明しはじめた。19世紀半ば以来日本が直面していた変動に比較すると、それらの村民の動きはそれほど重要な事件ではないように思われるかもしれない。しかし、当該日本社会のナショナリズムの高まりと西欧列強国の圧力という背景では、カトリック教理の普及に対する反響は熱烈であった。フランス人の宣教師にとってカトリック信仰を選んだ日本人は普遍的教会の所属者であったのに対し、幕府とその後明治政府は自国を裏切った危険な日本人と見なしていた。
実際、それらの村民がカトリック信仰を表明した理由は何であろうか。 博士論文にて第33回渋沢・クローデル賞を受賞したマルタン・ノゲラ=ラモス氏はパリ・ローマ・東京・九州にある史料館にて研究調査を行い、日本近世近代移行期の潜伏キリシタン・カトリック信徒の実像を探る。本発表では、それらの九州の村落の信仰・伝統・宗教的社会的組織を紹介し、19世紀の潜伏キリシタン・カトリック信徒の特異性及び村民としての普遍性を明らかにする。
【主催】(公財)日仏会館、日仏会館フランス事務所 【後援】(公財)渋沢栄一記念財団、読売新聞社
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