作家ミシェル・ウエルベック、フランス共和国とイスラム
[講演会] ブリュノ・ヴィアール(エクス=マルセイユ大学)
18:30 〜 20:30 1階ホール
* 定員に達したため、お申込みを締め切らせていただきました。
ウェルベックの新作は、ジハードを被ることさえなくイスラムのもとに服従することになる衰退しきったフランス共和国を描いている。キリスト教的友愛や共和国的友愛は過去のものとなり、もはや救済はイスラム的友愛のなかにしかなくなるだろう。この政治的フィクションは、フランス的共和主義精神に自らの健全さを問うように挑発する。
『服従』の主人公が19世紀専門の文学教師ということもあり、この小説は読者を共和主義精神の誕生へと迂回させる。しかしながら、共和主義精神の礎を築いた人々の英雄的行為からは長い年月が過ぎ、その間には五月革命や植民地主義の反動、ベルリンの壁崩壊などがあった。フランスはまだこのポストモダンの状況のなかで、かつて自らの偉大さの根拠となった価値観を誇示し続けることができるのだろうか?
プロフィール
1947
年生まれ。古典文学高等教育資格(アグレガシオン)をもつ。エクス=マルセイユ大学教授。雑誌「MAUSS」、「モチベーションの心理学」の編集委員であ
る。研究分野は、ロマン主義、19世紀思想史、心理学・社会学・文学のつながり、20世紀(プルースト、ジオノ、ウェルベックなど)である。著書に、Houellebecq au laser. La faute de mai 68 (Ovadia, 2008), Les Tiroirs de Michel Houellebecq (PUF, 2013)がある。
【講師】ブリュノ・ヴィアール(エクス=マルセイユ大学)
【ディスカッサント】野崎歓(東京大学)
【司会】クリストフ・マルケ(日仏会館・日本研究センター)
【主催】(公財)日仏会館、日仏会館フランス事務所
【助成】在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
【後援】河出書房新社