遺産復元のための主要な国家プロジェクト
[討論会] パスカル・リエヴォー(フランス文化省)、本中 眞(奈良文化財研究所所長)
18:00~20:00 ホール 同時通訳付
国際討論会シリーズ「建築遺産の復元」の第1回セッションは、フランスと日本における国家的規模の文化遺産復元プロジェクトに焦点を当てる。近年、両国では、復原という実践が脚光を浴びるような重要な出来事が発生した。2019年、フランスでは、パリのノートルダム大聖堂で発生した悲劇的な火災により、例外的な復原工事が開始された。全国の専門家や科学者たちが連携し、建物の再生に取り組み、2024年12月には再びその扉を開くこととなった。フランス文化省のパスカル・リエヴォー氏は、この前例のない規模のプロジェクトについて紹介する。このプロジェクトは、特に復元・復原に関連する文化遺産の取り扱い方について再考するきっかけとなった。一方、日本では、文化遺産の復元プロジェクトはより多数存在し、古くから多様な伝統の中に根ざしているが、その複雑さゆえに、復元の実践についても問い直しがなされている。奈良の古都遺跡群の事例は、歴史的・象徴的な重要性に加え、技術的・科学的課題を抱える点でも特に興味深いものである。奈良文化財研究所の所長である本中眞氏は、このユネスコ世界遺産に登録された遺跡に関連する国内外の制度的枠組みや制約について紹介する。
パスカル・リエヴォー「知の大聖堂ーノートルダム大聖堂の科学的修復プロジェクトー」
本中眞「考古学的遺跡における今は失われた木造建造物の復元ー世界遺産「古都奈良の文化財」の平城宮跡の場合ー」
1977年、奈良国立文化財研究所(現・奈良文化財研究所)に入所、発掘調査および復原整備事業に携わる一方、全国各地の遺跡庭園や歴史的提案に関する調査研究に従事。1999年から2018年、文化庁記念物課主任文化財調査官、内閣官房内閣参事官として名勝や世界遺産登録に取り組むかたわら、全国各地の史跡、名勝の保存整備指導などに携わる。2021年に奈良文化財研究所長に就任。専門分野は造園学、景観研究。主な著書には『日本古代の庭園と景観』(吉川弘文館)、『世界文化遺産の思想』(編集・共著/東大出版会)、『紀伊山地の霊場と参詣道』(『世界遺産の日本史』、ちくま新書 1651)などがある。
【司会】デルフィーヌ・ヴォムシャイド(日仏会館・フランス国立日本研究所)
【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所
【協力】東京大学工学部建築学科
【協賛】在日フランス大使館、フランス国立科学研究センター(CNRS)、クレディ・アグリコル・CIBジャパン、GIS Asie、フランス財団