平安時代後期における平家納経の法師功徳品
― 仏教芸術とクリプトグラフィー(字隠し絵)と ―

クレール・ブリセ(フランス国立東洋語東洋文化研究院)

シンポジウム「文字文化の再創造」,2001年4月7日,日仏会館ホールにて

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[更新:2001-03-26]


発表要旨

平家納経は、平家一門が厳島神社に奉納し、「妙法蓮華経」(「法華経」とも)を写経した国宝である。その華麗な作品はいわゆる装飾経の代表作とも言える。平家納経に見られる「書」は二つある、つまり各巻の中に書いてある法華経の各品とは別に、各巻頭のいくつかの表紙絵・見返し絵の中に隠されている文字でもある。例えば、法師功徳品という第十九品の見返しは景色の樹々と岩の輪郭に沿って隠してある文字がある。その字は、絵の模様に合わせて、最近高山寺の古文書の中に発見された原文の古和讃に暗示することが分かる。こういうふうのテキストとイメージとの関係について意見を述べたいと思う。


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